マギル大学 建築学部建築学科長 准教授
マイケル・ジェムトラッド

Michael Jemtrud,
Associate Professor of Architecture, Director, School of Architecture, McGill University



(写真は潟tォーラムエイト 提供)
(Photo provided by FORUM8)

 カナダからは、ケベック州モントリオール(Montreal)市にあるマギル大学(McGill University)建築学部建築学科長・准教授のマイケル・ジェムトラッド氏が、同大都市計画学部講師のヘザー・ブレイデン氏(Heather Braiden, Ph.D. program, School of Urban Planning, McGill University)らと共同で取り組んだ研究プロジェクトを紹介している。

 ジェムトラッド氏は「World 8」発足(2007年)当初からのメンバーの一人。同じ年の秋、同大に着任後、建築学部内に新たな研究ユニット「FARMM(Facility for Architectural Research in Media and Mediation:メディアおよび調停に関する建築研究施設)」の設置を推進。同大教員はもちろん、学外の研究所や企業を含め広範な専門分野に及ぶ研究者らによる学際的なチームを形成するのと併せ、高度な可視化など最新かつ専門的な技術の研究開発を可能にする各種ハード・ソフトの利用環境を整備してきた。

 その一環として2008年以来、同大とFARMMが連携し3DリアルタイムVR(Virtual Reality)ソフトUC-win/Roadを利用しながら大規模インフラ整備プロジェクトを可視化する取り組みが進められている。

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「第4回 国際VRシンポジウム」<World16>研究発表2
The 2nd Presentation of World 16, the 4th International VR Symposium

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(掲載 3/14/2011)
By 池野隆(Takashi IKENO)

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これまでの活動とターコット・コンプレックス

 こうした流れの中から、同氏らはまず、2008年の「World 8」プロジェクトとして、パークアベニュー(Avenue du Parc)で計画された路面電車の路線をイメージ化。続く2009年の「World 16」の活動では、ターコット高速道路インターチェンジ(Turcot expressway interchange)の改修効果について可視化してきた。

 このうち後者のベースとなっているのが、「ターコット・コンプレックス(Turcot Complex)」プロジェクトだ。

World 16での従来の研究成果:マギル大学とFARMM(メディアおよび調停に関する建築研究施設)では、2008年からUC-win/Roadを使い、大規模インフラ整備プロジェクトの可視化を進めている。この画像は、モントリオールの高速道路インフラの一つ、ターコットICを示すとともに、近隣住民への考えられる環境的、社会的、あるいは健康面での影響を説明している。
Previous work at World 16: McGill University and the Facility for Architectural Research in Media and Mediation (FARMM) have been visualizing large scale infrastructure projects using UC-win/Road since 2008. This image shows the Turcot Interchange, a part of Montreal’s freeway infrastructure and demonstrates the associated environmental, social and health impacts on local neighbourhoods.


(画像はFARMM 提供/(有)ライティング・ソリューションズ 訳)
(Images provided by FARMM/Translated by WritingSolutions Ltd.)

 モントリオール都市圏における道路交通の要衝に位置し、地域最大級の交通量(28万台超/日)で知られるターコットIC(interchange)。高速道路15号・20号・720号を接続、シャンプラン橋(Champlain Bridge)へのアクセスを容易にし、空港と市中心部を結ぶなど、ハブとしての機能を担う。ただ、1967年に建設されて以来、40年以上を経過。近年は構造物自体の劣化を受けて増え続ける補修工事の影響もあり、高速道路はもちろん、市内道路ネットワークに渋滞を来し、道路安全上の問題にもなってきていた。

 そこで、構造物の耐久性を得るとともに、高速道路の安全性を向上、市内地域への負荷を最小化しつつ、都市機能とプロジェクトの十分な統合を確保する、再構築が最適なソリューションになるものと考えられた。

 それを実現する目標として、ケベック州運輸省(Ministry of Transport, Quebec:MTQ)は構造物の安全性・機能性・耐久性の最適化、インフラと自然・都市環境との統合、当該地域の都市景観の再設計、地域経済発展の促進支援を位置づけ。モントリオール市からモントリオール・ウェスト(Montreal-Ouest)およびウェストマウント(Westmount)両市に跨る区域に位置するターコットIC、デ・ラ・べランドリー(de La Verendrye)IC、アングリニョン(Angrignon)IC、モントリオール・ウェストICの再構築、各ICを繋ぐ高速道路(15号・20号・720号)一部区間の再構築あるいは移設、域内を通るカナディアン・ナショナル鉄道(CN)をはじめとする鉄道軌道の一部移設および経路変更、地域道路ネットワークの新しいリンクの増設 ― などの具体策を含むターコット・コンプレックスの構想が描かれている。        




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