Designing the Interaction between People and Built Environment
in Italian Historical City Centers

 次いでフィアマ氏は、旧市街に建設された最初の地下駐車場(underground car parking)によってもたらされる交通現況への影響把握にフォーカスした取り組みを挙げる。そこでは、人と構築環境の相互作用に対し新たな可能性を提案する機会となる、デザイン作業のあり方が再検討されている。

 同氏はまず、歴史的な構築環境における相互作用のスケールとスピードは歩行者の問題、と位置づける。その上で、旧市街中心部の「構造上の特質」を理解するため、作業プロセスに歩行者の視点を踏まえることの必要性に言及。市民らは実際、動的な視点と静的な視点の両面から、通常はその構造上の特質を評価しているとする。

 また、公共の財産として保存されている重要な場所(monuments)を有するケースのみならず、高密度な建築および都市のネットワークがある時はいつでも、このような力学が起こり得る。それゆえ、デザイナーは構築環境の中で建築に関わる情報を評価するための新しいツールが必要になるという。

 新駐車場が設置されているのは、旧市街の南側周辺部。バス停留所および鉄道駅に隣接する、都市景観の高密度な一角に当たる。つまり、旧市街を訪れるドライバーがそこに駐車することで、新たに生じる歩行者交通流が一帯で交差する、重要なポイントとなる。

 したがって、同駐車場のデザインの直接的な対象は施設を利用する車のドライバーだが、そのデザイン自体は当該エリアにおける人と車との相互作用に影響を及ぼす。しかも、現場周辺には市の主要な交通幹線も通っていることから、歩行者交通流の干渉をも考慮した公共交通機関を含む道路交通流(road traffic flows)の検討が求められた。

 そこで新駐車場のデザインに際し、その建設によって見込まれる利益をいかに評価するか、あるいは相互作用の複雑性のレベルが下がるか高まるか、といった問題にフォーカス。同氏らは@現状への本当の影響は何かA歩行者や車の無秩序な動きをどう整理し、当該エリアのより知的な利用へとそれらをどう向け直すか ― という2つの重要なポイントを評価することで、この複雑なシステムを再検討している。

 こうしたアプローチが設定されたベースには、街での生活の質のレベルは今日、共有空間や公的空間の使い勝手と強く繋がっている、との考え方が反映されている。

駐車場設置による交通への影響探る研究

掲載記事・写真・図表などの違法な無断転載を禁じます。
Copyright
©2011 The WrightingSolutions Ltd. (http://www.wsolutionsjp.com/) All rights reserved.
リンク|
サイトマップ|
 お問い合わせ

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

WebMagazineTitle
WritingSolutions
ad. forum8
WMVR

Page 2 of 3

< Back

Next >

イタリアの歴史的市街地における駐車場問題
(イタリアの歴史的な都市中心部における
人と構築環境との相互作用をデザインする)

次ページへ続く
Webマガジンの特集カテゴリ

CALS/EC
VR(バーチャルリアリティ)
その他

Top Page

1

2

< Back

3

Next >

 フィアマ氏は新駐車場をはじめ複数の歴史的建物、鉄道駅などを含む当該エリアを3Dモデルで再現。さらに、UC-win/Roadを使い、新駐車場を利用した際の交通シミュレーションを作成。それを俯瞰、あるいはドライバーや歩行者の視点から、さまざまな箇所に焦点を当てながら紹介する。

 この交通シミュレーションにより、交通流のみを考慮した場合、交通が遮断されることはなく、同駐車場を中心とする新しいデザインはうまく機能するものと想定された。その上で、イタリアの都市中心部において歩行者の要素なしに交通流を計算するというのは一つのアプローチとしてあり得るとする。実際、歩行者の交差する多くの街路がある中にこうした建物や施設をデザインする場合、横断する歩行者のシミュレーションなど、それによって生じる変化までは認識していないのが通常だ。

 しかし具体的な状況に対するソリューションとして、人と公共サービス(city services)の新しい相互作用を評価するためには、交通流への歩行者交通流の影響を同時に評価することが求められる。そこで同氏らは、人と交通流との相互作用を含む環境をシミュレートするという考え方に着目した。

 その際、当該エリアの街路周辺には、人々をひき付けるポイントが多数存在。それらの交通流への影響をどう評価し得るかということが課題となった。

動きの特質: 「場所」としての建築のための付加価値は、現在話題になっているデザインに関するソリューションをさまざまなスケールでもたらし得る。
The movement dimension: An added value for the Architecture as a “Place”, that can contribute to give solutions for several current topic design, at different scale.

(画像はパウロ・フィアマ氏 提供/(有)ライティング・ソリューションズ 訳)
(Images provided by Paolo Fiamma/Translated by WritingSolutions Ltd.)

交通シミュレーションに歩行者交通流の影響も反映