こうした関連技術の進展と情報重畳の具体化を視野に、ノヴァック氏らは2011年度「World 16」プロジェクトでまず、UC-win/Roadのシミュレーション用データを、マルチメディア利用向けにより特化する形で開発されたソフトウェアにインポート。それを基に、都市の写実的な可視化を越えて、いっそう高度なメディア環境(mediated environment)をもたらすことがターゲットとして位置づけられた。

 そこで使われたのが、「Cosm(コズム)」だ。これは、没入型VR環境(CAVE-like environments)での利用を容易にするよう、音響や映像、インタラクティブなメディアを創造するための環境を提供するパッケージ「Max/MSP/Jitter」(Cycling ‘74)を拡張したもの。もともと、UCSB内の研究施設「AlloSphere(アロ・スフィア)」創設に合わせてプレゼンテーション用コンテンツを開発する際、同氏らのAlloBrain(アロ・ブレイン)プロジェクトを踏まえ導入された。その後、Cosmを活用してインタラクティブかつ航行可能な(navigable)、可聴化される(sonified)仮想世界の構築を目指す研究が進められている。

 そのうち、同氏の博士課程の学生2名はMaxの最新バージョン(Max6)の開発に参加。3次元グラフィックスやシェーダー(shader)、音響などの高品質な創作を可能にする各種ツールが提供されるに至っている。

 また、同氏の研究室の他のメンバーはiPhone向けアプリ開発にも関与。今後もこれらの活動には連携していく考えという。

新たなメディア環境の開発へ

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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 一方、同氏はコンピュータを用いた車の運転や飛行機の操縦におけるインターフェース面への関心にも言及。環境内のノイズをポジティブなものに換えたり、実際の環境から自ら必要な情報を採り入れたりできるメリットを説く。

 次いで同氏は、学生らが人工的な環境(artificial environment)をシミュレーションしてCGアニメーションを制作、それを建物ファサード(facade:正面)に投影したプロジェクションマッピング例を紹介。そのプレゼンテーション・ツールとしての優れた特性に触れる。

 ただ、そのコスト面に加え、都市をディスプレイとして利用するスケールの大きさは、プロジェクト達成の難点にもなり得る。それに対し、HUDであれば、乗り物のフロントガラスをディスプレイとして用い、見たくない世界は覆い隠し、見たい部分のみを選択的に含むようにする作業は多少容易に具体化できると語る。

メディア(表現)領域におけるナビゲーション:
注意のベクトル

Media Field Navigation: Vectors of Attention

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