CIMの概念整理から、今後の展開を視野に試行を通じた課題検討へ ― CIM技術検討会の活動成果と新たな取り組み


 続く2013年度には、前年度の試行業務を通じて得られた効果や課題を整理。CIM技術検討会による提案などを基に、詳細設計業務の深化・拡大に加え、前年度の試行業務で作成した3Dモデルを活用する施工段階(試行工事)への展開、モデル事業以外の工事へのCIM活用試行工事の実施など、今後のCIMの一般化に向けた多様な取り組みが予定されている。

 これらとは別に、同省は2012年12月、同省の技術政策の基本方針を示す「国土交通省技術基本計画」(計画期間は2012年度〜2016年度)を発表。同計画において今後取り組むべき技術研究開発(162件)を掲げる中で、とくに優先度の高い政策課題の解決に向けて推進する7つの重点プロジェクトを設定。その一つとして、建築分野で導入の進むBIMの要素を建設分野に採り入れたCIMの概念を通じ、建設生産システムの改善を目指すプロジェクトが位置づけられている。

 また、同省は2013年3月、情報化施工推進会議が策定した「情報化施工推進戦略」を公表。その中でも、CIM導入の検討と連携し、CIMにより共有される3Dモデルからの情報化施工に必要な3Dデータの効率的な作成、および施工中に取得できる情報の維持管理での活用を目指す、との目標に言及している。

 こうした国交省のさまざまな施策の中に、CIM導入の方針を反映する動きが着実に広がりつつある、と笛田氏は見方を語る。

CIM技術検討会の取り組み

 「同じ説明をしても、(報道)各社でどこを(着目して)取り上げるかが変わってきていて、ある意味、面白いという気がしています」

 CIM技術検討会では昨年12月に中間報告を実施。その後、今年3月には初年度の活動について「CIM技術検討会 平成24年度報告」に取りまとめている。笛田氏はそこでの成果として、冒頭で触れたCIMの理念や、その(@設計・施工・維持管理などの各段階を通じて期待される効果ACIM実現による技術的な目標BCIMマネージャの必要性C3Dプロダクトモデルを中心としたデータ共有システムであるデータモデルの構築・運用 ― といった)具体的なイメージを検討会のメンバー間である程度揃えられたことの意義を説く。

(画像はJACIC 提供)
(Images provided by JACIC)

 とはいえ、昨年の中間報告を受けた各専門紙の報道を見ると、それぞれ注目するポイントには依然ばらつきがあり、CIMへの関心やその可能性に対する期待の広がり(多様性)が窺われるという。

 同検討会はこの「平成24年度報告」を基に、CIM制度検討会が作成したロードマップ案に対して補足が必要な技術開発の検討フェーズや検討項目を提案。併せて、現場の実情に沿った基準の適用などCIM活用を促すための提案も行っている。

(画像はJACIC 提供)
(Images provided by JACIC)

 またCIM技術検討会は2013年度、前年度の検討項目の継続や深化、新たな技術的課題の検討に当たり、@センサ等計測技術に関する情報収集や実モデルでの検討A設計から施工へのデータの流れB維持管理でのCIMモデルデータ利活用検討C施工現場に即した利活用の検討D3Dモデルのソフト・ツールの開発や共有のあり方等の動向 ― に重点的に取り組むとしている。


Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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