「CIM ― 注目される、その展開と可能性」連載特集（2）
「第2回 データモデルセミナー」（土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委主催）リポート
道路事業向けプロダクトモデルおよび業務プロセスモデルの構築へ ― 道路データモデルの提案アプローチ（2）
「CIM技術検討会の取り組み」
建設情報に関する標準化、3Dモデル活用の流れ
CIMにおける情報共有の考え方
「情報の受け渡しから共有へ」という流れを背景に、三橋氏はデータモデルの活用イメージへと話を展開する。
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| （画像はJACIC提供） |
建設事業の各プロセスを通じて流通する情報は「企画、調査、計画、設計」といった初期段階では比較的小さなボリュームであるのに、「積算、施工、監督・検査」、さらに「維持管理・サービス提供」と段階を経るごとにデータが変更・更新され、各種の属性情報も付加されてくる。そこで、時間とともに進化・成熟するデータモデルの活用により情報を共有し、フェーズを越えた共同作業や並行作業を可能にする手法の構築が描かれる。
その上で、3Dプロダクトモデルの活用範囲と、各業務フェーズを通して共有する属性情報の概念に言及する。
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まず、システム全体の負荷軽減に向け、業務フェーズ間で共有すべき属性情報や、プレーヤーが当該業務の効率化などのために自ら利活用する情報を整理することの重要性に着目。その際、「属性情報は多くのプレーヤーが情報共有できる共通の基盤」と位置づけ。併せてその共通基盤について、「各業務のプレーヤーが独自に構築・運営するシステムやデータベース（DB）とは、円滑なデータ交換を可能にする範囲で独立性を確保すること」とする。
つまり、各業務フェーズ間で共有すべき情報は、属性情報として格納し、多くのプレーヤーが共通基盤として利用できるようにする。逆に、個々のプレーヤーしか使わないような情報については外部の独自システムやDBに蓄積し、それらを相互に円滑に情報交換できる環境を整えておく。同氏はそうした観点を示しつつ、これらの具体的な内容に関しては、CIM技術検討会でなお継続的な議論が行われている段階、と説明する。
CIMに関係する国際標準の動向
近年のCIM導入へのトレンド、建設情報標準化のニーズ、さらにCIM活用による情報共有の展開を視野に、三橋氏はCIMに関係する国際標準の動向にも触れる。
同氏がまず挙げるのは、buildingSMART（IAI（International Alliance for Interoperability）から2005年に改称）により取り組まれてきた建築分野のオブジェクトに関するシステム的表現方法の仕様「IFC（Industry Foundation Classes）」。建築分野についてIFCの議論が進み、ISO（International Organization for Standardization）化されてきたことなどをきっかけとして、建築の分野では情報の共有化、あるいはBIM（Building Information Modeling）に通じる3Dベースの生産システムに対する取り組みの急速な進展が窺われる、と語る。
その他、ISOに則った工業製品データ向け規格「STEP（STandard for the Exchange of Product model data）」、同じく地理情報を交換するフォーマット「GML（Geography Markup Language）」などを列挙。さらに、buildingSMARTによる建築分野向け取り組みが一段落したのを受け、残るインフラなど土木分野向け標準（IFC）づくりの今後の展開への期待を述べる。
とくにbuildingSMARTにおいては、インフラ分野の分科会（Infrastructure Room）が立ち上げられ、具体的な標準づくりの検討が本格化する。「CIM技術検討会でも、このbuildingSMARTのInfrastructure Roomの動向には注目していきたいと思っています」
